いつもいる鳥
冬はバードウォッチングに適した季節だと言われます。木々が葉を落として、野鳥の姿が見やすいということもあります。
シベリアなど寒い地方から、国内の山間部から寒さ凌ぎに渡ってきた冬鳥たちが見られる季節ということもあります。雑木林の中はバードウォッチャーがいっぱいで、何百万円もするような望遠レンズを構えて、冬鳥たちを狙います。
そんないい機材は持てなくても、僕はとにかく歩いて歩いて、チャンスがあればカメラを向けて、一瞬の出会いをとらえます。冬鳥とか、珍しい鳥ばかりをねらいません。僕はこの森の全部を知っていたいのです。
シジュウカラ(写真右)とヤマガラ(同左)は、分類的にとても近い種なのでしょう。大きさ、形はよく似ていて、さえずりのフレーズもそっくりです。ただ体の模様がはっきり違う。青っぽいのがシジュウカラ、赤っぽいのがヤマガラです。性格もなんだか違うようです。
シジュウカラは冬の間「カラ類混群」という、群れの中心にいます。エナガ、メジロ、コゲラなどと一緒に、異種どうしの群れを作り、雑木林を渡り歩くのです。
ヤマガラはというと、めったに混群には入りません。自分だけで好きにやって、人もあまり恐れず、餌付けするような人がいれば(野鳥は野生のままにしましょう)、平気で手の上かた餌をもらうようになります。
種の分化とは不思議なものです。雑木林の野鳥たちの中で、最も近い親戚同士と思われるシジュウカラとヤマガラ。この2種はどうして分かれたのでしょうか? 見れば見るほど違うのはなぜでしょうか?
珍しい鳥を追いかけるのもいですが、いつもの鳥の不思議に、引き寄せられてしまうのです。