rogo

365日のJournal

  

鳥たち

bird
essay
     

category

nature

January, 2022

j05 j06

冬鳥のアオジ

 

 このころになると冬鳥たちもだいぶ慣れて、あまり人を怖がらなくなる。
 スズメくらいの大きさのアオジは、藪の中に隠れていて、時々出てきて美しい黄色の腹を見せてくれる。この黄色をわずかに緑ががかっているのを、昔の人はアオと言い表したのでしょう。
 色の感覚がやっぱり少し違いますね。しばし枝さきに止まってくれましたので、さっと撮らせてもらいました。

category

nature

January, 2022

j01 j02

少しとおいところの色

 

 山道を歩いていると、冬鳥のルリビタキがすっと出てきて、こっちを見ます。縄張りを持つ鳥で、人が入ってきても反応するのです。
 わざと目立つところに止まって、近づくと飛んで先へ行く。それを三度、四度繰り返し、人が縄張りから出ると消えてしまう「人懐っこい鳥だな」と思う人は多いだろうけど、ルリビタキにしてみれば、侵入者を縄張りの外へ連れ出したというわけです。

 足元にはコウヤボウキの綿毛があります。タンポポを小さくしたような綿毛は、簡単には風で飛ばず、冬の間ずっと残っています。
 普通は生成色ですが、中には赤身が強いものがあり、ピンクを濃くしたようなこの赤が、なんとも他で見ない色なのです。
 冬の同じ日に、美しい青と赤を見たものですから、なにか二つは関係があるように思われ、冬の夕暮れの空の色だとか、天然の石を砕いて作った、岩絵の具にある色だとか、いろいろ思いを巡らせました。

 簡単にお金では買えない、少し遠いところに目をやると、運がよければ見ることができる。そういう自然の中の色なのです。

category

nature

March, 2022

march06 march07

いつもいる鳥

 

 冬はバードウォッチングに適した季節だと言われます。木々が葉を落として、野鳥の姿が見やすいということもあります。
 シベリアなど寒い地方から、国内の山間部から寒さ凌ぎに渡ってきた冬鳥たちが見られる季節ということもあります。雑木林の中はバードウォッチャーがいっぱいで、何百万円もするような望遠レンズを構えて、冬鳥たちを狙います。
そんないい機材は持てなくても、僕はとにかく歩いて歩いて、チャンスがあればカメラを向けて、一瞬の出会いをとらえます。冬鳥とか、珍しい鳥ばかりをねらいません。僕はこの森の全部を知っていたいのです。

 シジュウカラ(写真右)とヤマガラ(同左)は、分類的にとても近い種なのでしょう。大きさ、形はよく似ていて、さえずりのフレーズもそっくりです。ただ体の模様がはっきり違う。青っぽいのがシジュウカラ、赤っぽいのがヤマガラです。性格もなんだか違うようです。
 シジュウカラは冬の間「カラ類混群」という、群れの中心にいます。エナガ、メジロ、コゲラなどと一緒に、異種どうしの群れを作り、雑木林を渡り歩くのです。
 ヤマガラはというと、めったに混群には入りません。自分だけで好きにやって、人もあまり恐れず、餌付けするような人がいれば(野鳥は野生のままにしましょう)、平気で手の上かた餌をもらうようになります。

 種の分化とは不思議なものです。雑木林の野鳥たちの中で、最も近い親戚同士と思われるシジュウカラとヤマガラ。この2種はどうして分かれたのでしょうか? 見れば見るほど違うのはなぜでしょうか?
 珍しい鳥を追いかけるのもいですが、いつもの鳥の不思議に、引き寄せられてしまうのです。

^