不器用なつる
つる植物が好きで、山道を歩いていても、ついつい写真を撮ってしまいます。
家にも母が植えたモッコウバラ、ジャスミン、山葡萄、ノウゼンカズラと、いろいろあり、それで家のあちこちが包まれています。母は庭木が太く、高くなるのを恐れていましたから扱いやすいと思っていたふしもあります。僕は定型を持たない自由さ、あやうさのようなものに惹かれるようです。
しっかりと他の木に抱き着き、時には覆いつくしてしまったりするのは、あまり好きではありません。つるが最初に手を伸ばし、何かにつかまろうとする様が好きです。そしてそのやり方は、種によって様々なのです。
サルトリイバラのつるの先は、内側に鍵のように曲がっていて、風にゆられて何かに引っ掛かります。キヅタには吸盤のようなものがあり、吸い付くことができます。
ウリ科のつるはなんだか不器用で、伸びた先で、何か刺激があると丸まってつかまろうとするのでしょうか? うまくつかまることができず、自分自身の一部にからみ、そこからまた手を伸ばそうとする。畑のキュウリなら助けてもらえるのでしょうが、自然の中ではなかなかたいへん。でもこれが本当なんだろうなと、見るほどに可愛く思えてしまいます。